■カミツレ(きく科)
 西洋の民間薬。野生はないが、一年草で高さ一m内外。葉は羽状で深く裂けている。その裂片は線形で葉面はスベスベしている。全株が無毛、五〜六月頃に頭状花を茎の頂点に開く。この花は舌状になっていて周花は白く、管状の心花は黄色で桂香あり。なお英国で栽培されるローマカミツレは、全株有毛、葉の色濃く黒味あり、花が大きく花床が空洞でない。ために花床が平らにみえる。ただのカミツレは空洞なので花床が円錐形、または半球形を呈している。

「薬用部と利用法」
 秋に定植したものは翌年の四月中旬頃に花蕾ができる。そこで五月下旬か六月にかけてこの開花したものを採る。しかし開花、成熟が一斉でないので花の中央管状花の部分が黄緑色に変じた頃を見計らい、収穫する。地上三十cm内外から刈りとり、花部をこきとる。風邪に三〜五g浸出して(ふり出し)その汁をのむ。また、のどの疼痛、胸部のいたみに湿布する。その他、この揮発油を蒸餾して香料とする。