漢方的な診断で、以下のように判断した。
40歳近くになり体力的な衰えもあり、イライラが増えている状況。
1.血虚 生理に必要な血が少なく生理周期が長くなりがち。経血が少ない。
皮膚の乾燥も血虚に見られる症状である。
2.肝陽上亢、心火旺。
血は陰に属しており、陰が少なくなると相対的に陽気が強くなる。
肝陽が強くなりすぎることでイライラ、起こりやすくなる。
怒ったときに顔が熱くなる、爆発的に怒るのは実熱の関与多少出ていると判断できる。実熱は続くことで陰血がさらに消耗する。
加味逍遙散が無効ということから、肝脾不和の状況ではないと判断できる。
処方としては、陰血を補いつつ清熱する。温清飲を服用していただくことにした。
温清飲の構成生薬は以下の通りである。当帰、芍薬、川キュウ、地黄、山梔子、黄連、黄柏、黄岑。
当帰、芍薬、川キュウ、地黄は四物湯で陰血を補う。
山梔子、黄連、黄柏、黄岑は黄連解毒湯で清熱する。
今回の処方では黄連解毒湯の部分を強化した形で毎日継続していただいている。
イライラが少し落ち着いてきているとのことで、続けて服用中。
今回の例は、温清飲をお飲みいただくことになりましたが、一般に、体力的に夕方になるとぐったりしてしまい、疲れが激しい場合や、生理後の症状が改善しない場合は、体力不足から来る「虚熱」による精神状態の悪化と考え、当帰芍薬散+補中益気湯、または、当帰芍薬散+抑肝散などの組み合わせが日常よく使用されます。
また難治の例で、舌診などにより、陰虚が病態の中心的な要因として考えられるときは、当帰芍薬散+滋陰至宝湯などの組み合わせも水分代謝をよくさせる意味で推奨されます。
滋陰至宝湯には、疏肝作用といってストレスに対応する生薬が配合されており、陰的な成分である水分の調節の働きがあります。
さらにオ血が強く絡んでいる場合、煎じ薬を飲んでいるうちにほかの症状は消えてもオ血の症状だけがしつこく残ってくる時があります。その場合は当薬局では「女神散」を中心とした処方をよく使用し、よい結果が得られています。
また動物生薬を配合した市販の滋養強壮剤との併用、牡蛎肉エキスなどミネラル中心の補給をプラスすることにより精神状態が劇的に改善する例も多く体験しています。
以上のように、今回の例はイライラを精神疾患の分類として考えて掲載しましたが、婦人科の疾患と考えることもできます。
婦人科疾患だと考えても漢方の処方選択では考え方は同じで、各種の内分泌ホルモンの過不足や、栄養的な(食事が取れない拒食状態)観点から、再度詳細な診断が必要となる場合もあります。 |