◆重度の三叉神経痛、顎関節痛、顔面麻痺、会話困難
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60歳代女性 |
重度の三叉神経痛、顎関節痛、顔面麻痺、会話困難。 |
神経-02 |
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◆症状と経過
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60歳代女性、26歳の時から、三叉神経痛の痛みと顔面の麻痺がある、大学病院など転々としてきたが効果が得られないまま、30年以上痛みに耐えてきた、病院では当然であるが、カルバマゼピン800mg/dayの処方がでている、ザンタック併用、副作用はでていない。昭和58年に神経と血管の間にクッションを入れる手術をしたが、改善しなかった、神経ブロックも試みたがうまくいかなかったとのこと、ほとんど会話ができないので、ご主人から状態を問診する。とにかく1日中痛いとのこと、髪の毛をさわられても痛い。食事をするときに口を大きく開けることができない、部屋でじっと耐えているのが精一杯。朝方より夕方が少し楽である。梅雨時になると痛みが増す、冷房はダメ、冷え性という感覚はない、夏はよく汗をかく、便秘症、カマ服用中、夜間排尿は1回。 |
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◆使用処方と考察
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春先は調子がいい日があるとのこと、梅雨時や季節の変わり目になると、悪化する、持続性の長いジーとした痛み、眼瞼下は真っ白で、血虚がある、舌苔は薄く白苔あり、舌質は淡白舌、オ血はなし、湿痺、麻痺が強いことから小続命湯を使用する。羌活、威霊仙、桂皮、蒼朮を加味して炮附子2.0gからはじめる、1ヶ月後会話が少し可能となってきたが、痛みはまだ変わらないとのこと、炮附子3.0に増量して継続中、30年以上この症状が続いていたことに驚きがある、烏頭湯などの使用も考慮すべきであるが、当面上記の処方を継続中、麻痺に関しては1ヶ月服用でよく改善されてきている。 |
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◆痺証に対する薬物配合の基本
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中医処方解説 神戸中医学研究会より
行痺(風痺) |
去風の秦ギョウ、羌活と四物湯を配合(風六合湯) |
着痺(湿痺) |
去湿(利水)の白朮、茯苓と四物湯を配合(湿六合湯) |
痛痺(寒痺) |
去寒の乾姜、附子、桂皮と四物湯を配合(寒六合湯) |
上部(肩、肘など)の痛み |
羌活、防風、威霊仙、桂皮、蒼朮 |
下部(脚、膝など)の痛み |
牛膝、防已、木通、枳殻、黄柏 |
老化による腰痛(腎虚) |
補骨脂、杜仲、牛膝 |
患部腫脹、重く悪天候に痛くなる(湿) |
蒼朮、羌活、茯苓、木通、防已 |
患部発赤、熱を持っている(熱) |
知母、黄柏、地骨皮、白芍、枳殻 |
患部冷感、冷える、寒冷により痛む(寒) |
桂枝、附子、乾姜、小茴香、五茱萸 |
鬱血、血行障害の痛み、夜間増悪(オ血) |
延胡索、桃仁、我朮、桂枝、当帰、牛膝 |
打撲などの外傷による痛み |
当帰、桃仁、蘇木、紅花、大黄 |
筋肉の緊張、凝り、 |
烏薬、木香、香附子、枳殻、ビンロウジ、葛根、青皮 |
筋肉のけいれん |
木瓜、ヨクイニン、五茱萸、木香 |
婦人 |
香附子、当帰、白芍、桃仁、紅花、牛膝、羌活 |
肥満、水太り、痰、湿、 |
二陳湯、蒼朮、防已、木通、天南星 |
痩せ(陰虚、熱証) |
四物湯を増量して、黄柏、黄B、知母、地骨皮 |
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