◆20年以上続く難治性の耳鳴り、強風が吹いているような音がする
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50歳代男性 |
20年以上続く難治性の耳鳴り、強風が吹いているような音がする。 |
神経-04 |
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◆症状と経過
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難治の耳鳴り、20年以上耳鳴りに苦しんでいる。内科、神経内科、耳鼻科等を転々とするがいっこうに耳鳴りがやまない、左手がしびれる左目が悪い、体の左半身の調子が全体に悪い感じがする、MRIの検査をしてもらったが異常なしといわれた。
汗は普通、血圧正常、尿量普通、便通は毎日、胃と脾臓の全摘手術をしており、胃と脾臓はない、貧血症状は今のところ出ていないが、ぎりぎりの検査値、体のだるさや倦怠感はない、イライラや不眠などもない、食欲は普通、空腹感とともに満腹感もある、寒がりでなく暑がりでもない・
耳鳴りは1日中朝夕の変化なし、ゴーという大きい音で難聴の状態もある。
舌診は舌色淡い紅色、中心部に黄苔あり、舌裏静脈の怒張、色は暗黒色、話し声は小さく口数は多い方ではない、夜間排尿や咽の渇き、足腰の弱りなどはない。
発症の時期は20年ほど前、心身ともにつかれた時で、突然耳鳴りが始まったとのこと。 |
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◆使用処方と考察
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難聴や耳鳴りなどは、漢方でいう腎が絡んでいることが多い、多くは腎気を補い開竅(カイキョウ)することにより改善してくるが、臨床で手こずることが多い。概ね漢方薬を購入にくるまで10年や20年している、というケースでほとんど慢性化した状態になってくる。
今回の場合も漢方的な湿熱、痰飲などという確実な特徴は認めれれなかった、わずかに舌診でうすい黄舌苔を確認し職場のストレス等もあることから、腎気を補い気滞を改善するため肉ジュヨウ丸合柴胡桂枝湯を30日服用して頂いたが全く変化なしということであった。
相変わらずゴーという耳鳴りがある。肝火の場合、竜胆寫肝湯などを使用するが慢性化していることから柴胡桂枝湯を選択した、舌診で前回確認した黄苔は完全に消失しておりヲ血のみ確認する。胃腸の調子が思わしくないことから、帰芍六君子湯合桂枝茯苓丸をしばらく継続した後、血オ中心の処方に変更した。
採用処方は、血府逐オ湯合通竅活血湯(血府逐オ湯合に葱白を加え生姜と大棗を加えた処方、)現在継続服用中。 |
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